キリンの「はぐみ」と装具

 今年の1月、朝のニュースで広島の動物園のキリンの「はぐみ」が話題になっていました。はぐみは生まれつき足に障害があり、足首の骨が曲がっていたため歩けなかったそうです。このままでは起き上がることもできず生きていけないであろうはぐみに装具が作られることになりました。インターネットのニュースも見てみたのですが、義肢技工士の人が石膏で型をとって装具を作るところは、子どもの装具を作るやり方と同じで、懐かしく思い出していました。

 装具をつけた「はぐみ」は最初ぎこちない感じでしたが、しだいに自然に歩けるようになり、やがては走れるほどになり、ついに装具なしで生活できるまでになりました。義肢を作った人は「もう役割は終わった」と言っていました。キリンの「はぐみ」のケースは、本当に理想的な装具の役割を果たしたといえると思います。このチャレンジに関わったすべての人が大きな喜びを味わったのだろうなと想像できます。

 長男も下肢装具を何度か作りました。装具をつくるために、石膏で足を型取りして乾くのを待ってカッターで切るのですが、いつも見ているだけで緊張します。足まで切ってしまうのではと心配になるのですが、そこはプロの仕事、けっしてそんなことはありません。長男の場合は、立つことができなかったので、装具をはかせて介助して立たせることで、自分の重さを自分の下肢で支える経験をさせる(抗重力筋を鍛える)ということを目的に、装具を利用していました。膝が少しずつ伸びなくなったり、足首の内反が進んだりしたので、数年に一度作りかえながら高校を卒業し1年後に入院するまで使っていました。長下肢装具はちょっとした重さがあり、装具をつけると長男の重さも増すので、最後の数年は介助するとき気合を入れないと支えきれない感じでした。  

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