緊急事態宣言

 2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け7都府県に初めての緊急事態宣言が出されました。その後もコロナウイルスの第2波、第3波、第4波の到来で現在でも全国の一部の地域で緊急事態宣言が出されています。

 「緊急事態宣言」は昨年初めて聞くまで馴染みのない言葉でしたが、「個人的緊急事態宣言」は何回もあったな、と思います。障がいを持つ長男の体調が悪くなった時です。その中のひとつは、長男が養護学校の中学部3年生の夏のことでした。夏休みになってまもなく体調がすぐれず、定期的なPT、OTの先生による訓練などは予定を先に延ばし、家で行っていた機能回復訓練も最初は軽めにやっていましたが、一度訓練中に顔色が真っ青になったことがあって、しばらくお休みすることにした。長男は体調が悪いと吐きやすい体質だったので、特に心配でした。というのも、四肢麻痺で自由に体を動かせないため、嘔吐物がのどに詰まって、窒息を起こしかねないからです。だから目を離せません。長男の通院以外はどこにも出かけることなく、夏休みが過ぎていきました。すぐ近くの図書館に行くこともできず、代わりに下の子たちに、何でもいいから借りてきて、と頼んだこともありました。長男は市内の病院に通い時々点滴を受けていましたが、ちょうどお盆の頃、先生から炎症反応が高くなっているから、と急きょ入院するように言われました。

 1週間で退院して家で療養しながら、長男は徐々に体調が戻ってきました。夏休みの最後の週、例年養護学校では先生の研修があり、研修の内容の一環で希望する子どもは参加できることになっているのですが、休み明けに学校生活に戻る練習も兼ねて毎年参加していました。すでに申し込んでいましたが、体調のことを考え先生とも相談して2日の研修のうち、1日だけ参加させてもらうことにした。これが40日ほどの夏休み中、病院以外の唯一のお出かけとなりました。

 緊急事態宣言の状況下で、家に障がいや病気を持つ子どもをかかえた方々はどれだけ心細い気持ちだろうと思います。子どもの体調に何かあった時病院に行く不安、自分がもし感染してしまったらという不安、日頃使う日用品や医療的に必要な備品などが手に入らない不安などなど。ひとりで抱え込むと、なおさら気がかりが大きくなってしまいます。少しでも自分の不安を軽減できるよう、日頃から人とのつながりを作っておくことが大事だと思います。また気軽に相談できる人、学校の先生や医療関係の人、市町村など地区の担当者、近所の知り合いや親同士のつながりを作っておくことも重要です。  

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