「片翼の小さな飛行機」

 東京2020パラリンピックの開会式で、車椅子の13歳の女の子が演じたのが「片翼の小さな飛行機」というストーリーです。テレビで見ていて引き込まれました。

 同時に長男が通っていた特別支援学校の文化祭で見た車椅子ダンスを思い出していました。たぶん踊っていたのは中学部、高等部くらいの生徒だったと思うのですが、みんな真剣にそしてとても楽しそうに車椅子を上手に動かしながら踊っていました。長男の同級生には車椅子マラソンの競技大会に参加している生徒がいて、学校を囲む柵にそれを知らせる幕が掲げられたときは、とても誇らしい気持ちがしました。

 学校ではボッチャが盛んで、この競技名を聞いたのは長男の入学後間もない頃です。今はボッチャという名も知られるようになりましたが、初めて連絡帳に「今日は体育館でボッチャをやりました。」と書いてあったとき、「ボッチャ」ってなんだろう?と思ったことを覚えています。他校との交流会でもよく使われていて、健常の生徒とも一緒に楽しめる競技だと知りました。長男は指を離すだけでボールを動かせる滑り台のような器具を使わせてもらっていました。支援学校の先生方は特技を持つ器用な先生方が多かったので、先生が障害の重い子でも参加できるよう作ってくれたのかなと思っていましたが、これは「ランプ」と呼ばれる競技の正式な道具のひとつだと後から知りました。ちなみに、ボッチャの起源は古く、古代ギリシャの球投げに由来しているそうです。6世紀には今のボッチャの原型が生まれ、語源はラテン語の「bottia」から来ていると言われています。

 学校では、呼吸に困難があるため頑張って呼吸をしている子、嚥下機能が十分でなくて頑張って口から食べている子など、様々な困難とともに生活する子どもたちをたくさん見てきました。障がいを持つ子どもたちは、それぞれの場で毎日頑張っているのだなと思います。「片翼の小さな飛行機」のように、ひとりひとりが自分の翼で羽ばたける日が来ることを、そんな社会に近づけることを願っています。

↑長男たかあきが機能回復訓練を始めて10年目の夏、妹(当時10歳)が作った金メダル

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