わすれられない おくりもの

読み聞かせの活動を通して出会った印象深い絵本のひとつに『わすれられない おくりもの』(スーザン・バーレイ作・絵/評論社)があります。年老いたアナグマがこの世を去るときの情景、そして残った周りの動物たちがそのことを受け止めてゆく様子が描かれています。年老いて体の自由がきかなくなったアナグマが、ある日の夜ぐっすりと眠りにつき、天に帰っていく途中で体が楽になり昔のように走っている姿がありました。初めてこの絵本を見たとき、いつかたかあきも身体が自由になって駆けていくそんな時がくるのかもしれないと想像しました。

たかあきの妹が、小・中学校時代の友だちに兄が亡くなったことを知らせたところ、一人の子が次のようなメールをくれました。

「…そうか。本当は亡くなってしまう前に一目会いたかったな。とても残念で、もう会えないのが悲しいです。私もたーくんに遊んでもらった事や笑った顔は今でもちゃんと覚えているよ。…私は小学生の頃から障がいをもっているたーくんと接する事ができたおかげで、偏見なく当たり前に感じて大人になれて、とても感謝しています。たー兄さん、本当にありがとうございました。…」

みんなの心にも何かを残してくれたとしたら、それは、たかあきからの「おくりもの」かもしれません。

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